自民党の福田康夫総裁は25日午後、臨時国会で首相指名を受け、同日夜、新内閣を発足させる。内閣の要・官房長官には町村信孝外相の就任が固まった。福田氏には政局混乱を引き起こした党や政府の信頼回復が求められるが、試金石となった24日の党役員人事では、古賀誠元幹事長に総務会長を蹴られ、「実質幹事長」の選挙対策委員長を用意する事態となった。屈服人事で、福田内閣の先行きに暗い影を落とした。
「福田康夫君338票。小沢一郎君117票…。右の結果、本院において福田康夫君を内閣総理大臣に指名することが決まりました」
25日午後1時35分過ぎ、衆院本会議場で河野洋平議長が首相指名選挙の結果を告げると、福田氏は自席で立ち上がり、議場の議員らに深々と頭を下げた。
その後、同僚らの握手攻めにあったが、福田氏の表情は最高権力にたどり着いた喜びの一方、昨日の役員人事で実感した政権運営の厳しさを噛みしめているようだった。
「党の崖っぷちだから、どんな球拾いでもするが、私の一番得意分野で仕事がしたい。総選挙の対策だ。二階(俊博総務会長)さんとは兄弟(のような関係)だから、それ(二階氏を押し退けての就任)はできない」
24日午前、自民党本部4階の総裁室。古賀氏は、福田氏から二階氏の後任の総務会長就任を打診され、人事案の白紙撤回を迫った。
今回の総裁選で、古賀氏は派閥領袖として「福田氏支持」を真っ先に打ち出し、派内(46人)をほぼまとめた功労者。福田氏の兄貴分、森喜朗元首相側からも幹事長就任を示唆されており、「あんな司会屋なんて」と見下す総務会長では納得できない。次善の策として選挙対策の実務を取り仕切り、候補者選定とカネを握るポストを要求したわけだ。
 ゴネて人事をくつがえした古賀氏。福田政権のアキレス腱になるか=24日午後、東京・永田町の自民党本部 |
福岡出身の叩き上げ、「政界屈指の武闘派」古賀氏の恫喝まがいの直談判を、二世議員で調整型の福田氏に跳ね返す余裕はない。
福田氏は「やはり、選挙対策ですか…」と引き下がり、幹事長直轄だった選挙対策総局長を、古賀氏のために総裁直轄の選対委員長として新設し、伊吹文明幹事長や谷垣禎一政調会長、二階総務会長と並ぶ「4役」に格上げした。
森内閣時代、「影の宰相」と恐れられた野中広務幹事長を継いで幹事長を務め、強い権勢を振るった古賀氏。その後の小泉、安倍内閣では“抵抗勢力”として冷や飯を食い続けたが、「実質幹事長」としてゾンビのごとく復活した瞬間だった。
古賀氏周辺は「幹事長が握っていた選挙関係の権限は手中にした。カネを集めるのは幹事長(伊吹氏)、使うのは選対委員長(古賀氏)ということだ」とウソぶいた。
これに対し、閣僚経験者は「福田氏は古賀氏の圧力に屈して、権力の根源である人事権を曲げてしまった。今後、他派閥の要求も高まってくる。就任早々、大変なミスをした」と嘆いた。
ただ、別の党関係者は違った見方をする。
「福田氏は、麻生太郎氏が党内保守派を結集することを嫌い、保守派の伊吹氏を幹事長に起用した。伊吹氏は総裁選で派内を『福田支持』でまとめ切れなかったため、選挙対策の権限を古賀氏に奪われても逆らえなかった。こうした流れを、福田氏が見越していたならしたたかだ」
党内の不協和音も聞こえ始めた。総裁選で福田氏を支持しながら、党4役から外れた津島派、山崎派からは「山崎拓氏の副総裁就任は検討外だったのか」(山崎派関係者)と不満が漏れる。
さらに、総裁選であれだけ「密室の派閥談合」という批判を受けながら、4役に伊吹派、谷垣派、二階派、古賀派の領袖を並べたことが、小泉純一郎元首相以来の「派閥の意向よりも適材適所で」という人事慣例を破ったことも大きい。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は早速、「古い自民党の体質がそのままむき出しになって現れてきた。驚きの派閥談合人事だ」と批判した。
その強面の風貌もあり、古い自民党の代表とみられる古賀氏の横暴まで許した今回の人事が支持率回復に貢献する可能性は低い。
そこで注目されるのは、25日夜に誕生する福田新内閣の顔ぶれだ。
同日午後の首相指名選挙で、衆院は福田氏を、参院は民主党の小沢一郎代表を指名した。衆参の議決が異なるため、9年ぶりに両院協議会が開かれ、憲法の規定により衆院の指名が優先され、福田氏が第91代首相に選出。その後、福田氏は組閣作業に着手。国会開会中のため、多くの閣僚を再任する方向で、舛添要一厚労相や公明党の冬柴鉄三国交相、増田寛也総務相らの再任、官房長官には町村氏の外相からの横滑りが固まった。
外相には、経験者の高村正彦防衛相が横滑りして、防衛相にやはり経験者の石破茂元防衛庁長官の名前が浮上している。
党役員人事では、古賀氏のゴネ得を許してしまった福田新首相。世論の支持が高まるのか、冷めるかは、25日夜に発足する福田内閣の布陣次第といえそうだ。
ZAKZAK 2007/09/25
なんか考え古そう。
最近のコメント